社会保険料を削減するために常勤役員を非常勤役員にすればいいって本当?

ご夫婦で会社を設立し、ともに役員となるケースがよくあります。
この場合、奥さんを常勤役員から非常勤役員にするだけで、社会保険料は削減されます。
もちろん、その他の常勤役員の方であっても、非常勤役員にするだけで、社会保険料が削減されることがあります。
会社における社会保険料の負担は増え続けていますから、その削減効果は大きいです。
どういうことか説明していきます。

1.常勤と非常勤の違い

常勤役員と非常勤役員って、何がどう違うのでしょうか。

(1)会社法

会社法では、常勤役員と非常勤役員に区別はありません。
登記簿上に区別して記載されません。

(2)税法

税法では、常勤役員と非常勤役員は区別されていますが、会社法に定める取締役や監査役以外でも経営に携わっているのであれば、役員とみなされます。
月に数日程度しか出勤していない場合には非常勤とされています。

2.常勤役員と非常勤役員で社会保険料がどう違うの?

労災や雇用保険とは異なり、報酬額に関わらず、常勤役員は社会保険の被保険者となります。
例えば、顧問、相談役、監査役等が常勤役員の場合は社会保険の被保険者となります。
それでは、常勤役員とせず、非常勤役員とした場合にはどうなるか見てみましょう。

もちろん、肩書きを変えただけではあてはまりません。
名称で判断しているのではなく勤務の実態で判断されます。
非常勤役員になり出社日数が減れば、会社は、社会保険料を負担する必要がなくなります。
そもそも、役員は労働者ではありませんから、労働時間という概念がありません。
そこで、一般的には、以下の基準で判断されています。
判断材料として日本年金機構から示された具体例は以下の6つです。
①当該法人の事業所に定期的に出勤しているかどうか。
②当該法人における職以外に多くの職を兼ねていないかどうか。
③当該法人の役員会等に出席しているかどうか。
④当該法人の役員への連絡調整または職員に対する指揮監督に従事しているかどうか。
⑤当該法人において求めに応じて意見を述べる立場にとどまっていないかどうか。
⑥当該法人等より支払を受ける報酬が社会通念上労務の内容に相応したものであって実務弁償程度の水準にとどまっていないかどうか。

あいまいでなかなか難しいですね。
実態として、いつも会社にいなければならない立場の人であるかどうかで判断します。

3.社会保険に加入するかどうかは、役員報酬で決まるの?

先ほど、日本年金機構から出された6項目の判断基準をご紹介しましたが、役員報酬額は、この判断基準に含まれていません。
ということは、役員報酬額で、常勤、非常勤が決まることはないということになります。
そうはいっても、常勤役員に比べて、責任や権限が異なりますから、業務実態に対して、役員報酬が高すぎる場合は、そもそも非常勤役員として判断されない場合があります。
そもそも、非常勤役員の一般的定義がありませんので、なかなか難しいところです。

4.夫婦で経営している会社の場合、さらに社会保険料が削減できる?

ご夫婦で会社を経営している場合、常勤役員となっている奥様が労働日数を減らして、非常勤役員となり、社会保険から外しているケースがあります。

ただ、社会保険から外すということは、国民健康保険や国民年金に加入することになりますが、そのご家庭にとっては、保険料の削減になりません。
そこで、年収を130万円未満(60歳未満の場合)にして、夫の被扶養者となります。
奥様は健康保険上は「被扶養者」、国民年金では「第3号被保険者」となります。
そうすることで、ご本人の手取り収入を増やすことにもつながりますから、総合的に判断します。
社会保険料の負担を減らすため、お仕事をセーブすることが許される環境であれば、選択肢として考えることができます。

奥様が被扶養者になっているケースが多いですが、もちろん、旦那様の方が被扶養者となることもできます。
その他、親など親族が常勤役員になっている場合も、同じような方法で削減できます。

参考:社会保険上での扶養となる収入条件
○60歳未満の場合
・月額:108,333円以下
・年収:130万円未満
・被保険者の収入の2分の1未満であること


○60歳以上の場合
・月額:150,000円以下
・年収:180万円未満
・被保険者の収入の2分の1未満であること

5.手続きはどうするの?

会社で行う手続きについてご紹介していきます。

(1)登記

もともと「常勤」や「非常勤」ということは登記の必要はありません。
また、会社によっては「会長」とか「専務」とかといった肩書きを設けていますが、会社法に基づいたものではなく、定款や社内規則で任意に定めているものですから、登記は必要ありません。

会社法において、株式会社の役員として定められているのは「代表取締役」「取締役」「監査役」の3つです。
ですから、これらの役職に就く人に変更があった場合には、登記が必要です。

(2)臨時株主総会

常勤役員から非常勤役員に変更するにあたっては、株主総会の開催は必要とされていません。
そもそも常勤か非常勤かは登記事項ではありませんし、株主総会で決議をとる必要がある事項でもないからです。
取締役会で報告するという形で行います。

(3)社会保険資格喪失届

というわけで、実際に必要となる手続きとしては、社会保険事務所に「社会保険資格喪失届」を提出することです。
資格喪失日から5日以内に提出しなければならないとされています。
これで、社会保険の資格を喪失したことになりますから、社会保険料を負担しなくてもよくなります。

以上は、会社側の手続きです。
被扶養者となる場合は、健康保険、国民年金の本人が必要とする手続きがあります。
健康保険はその種類により、手続きの方法は異なりますので、事前に調べておきます。

まとめ

法人は、社会保険に加入する義務があります。
そのため、常勤役員は社会保険の被保険者になります。
ただし、非常勤役員は、一定の要件を満たさない場合は、被保険者に該当しないので、社会保険料を負担しなくてよいということです。
だからといって、安易に名前だけ非常勤にして社会保険から外すことはしないでください。
非常勤役員として、社会保険に加入させていなかった役員が、年金事務所等による調査の祭に、実態として非常勤といえないと判断されれば、そこから2年間さかのぼって社会保険料を徴収されます。
勤務実態が要件を満たしているか冷静に判断し、専門家に相談しましょう。

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