運送業の許可が不要な場合とは?
運送業で独立・企業しようと考えておられる方も結構多いと思います。
特に近年インターネット販売の普及やメルカリ等、個人間の取引も増え、配送業務の需要は伸び続けていますから、注目されている業界です。
運送業は、運送業許可が必要になりますので、許可を得ないで運送業務を行うことは違法ですからペナルティーもあります。
実は、運送業といっても、内容によっては、運送業許可が不要な場合があります。
そのことについて説明をしていきますので、これから行おうとする事業が許可が必要にものにあてはまるか、あてはまらないか、確認してみましょう。
目次
1.運送業とは
運送業というのは、「貨物自動車運送事業」のことです。
その貨物自動車運送事業には、①一般貨物自動車運送業、②特定貨物自動車運送事業、③貨物軽自動車運送事業の3つがあります。
これらは、貨物自動車運送事業法という法律により、定義されています。
この法律において「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。次項及び第七項において同じ。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。
貨物自動車運送事業法 第2条第2項より引用
つまり、他人から依頼を受けて、お金をもらって自動車で荷物を運ぶことが運送業にあたります。
①、③については、「他人の需要に応じ」とありますが、②については、「特定の者の需要に応じ」とあり、誰から依頼されるかということが異なっています。
そして、許可については、同じく貨物自動車運送事業法により、定義されています。
①一般貨物自動車運送業
一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
貨物自動車運送事業法 第3条より引用
②特定貨物自動車運送事業
特定貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
貨物自動車運送事業法 第35条第1項より引用
③貨物軽自動車運送事業
貨物軽自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、営業所の名称及び位置、事業用自動車の概要その他の事項を国土交通大臣に届け出なければならない。
貨物自動車運送事業法 第36条第1項より引用
ちょっと難しい言葉で書かれていましたが、違いがわかりましたか?
①、②は「許可を受けなければならない」とあり、③については、「届け出なければならない」とあります。
ということは、③軽貨物自動車運送事業であれば、許可ではなく、これから運送業をはじめますと届け出ることで事業を始めることができるということです。
また、必ずしも会社を立ち上げる必要はなく、個人でも始められるという特徴があります。
この必要な届出をしたら、黒色のナンバープレート(黒ナンバー)をつけることができます。
2.許可が不要な運送業とは
運送業をはじめようとすると、必ず許可が必要というわけではなさそうです。
それでは、許可が不要であるケースについてみていきましょう。
(1)軽自動車を使う
上で説明した届出で良い③の軽貨物自動車運送事業が、これにあたります。
軽自動車(軽トラ含む)を使って、他人から依頼を受けて、お金をもらって、荷物を運ぶ場合は運送業の許可が不要です。
(2)バイクを使う
バイク、つまり二輪自動車でも軽自動車と同様、軽貨物自動車運送事業にあたりますので、届出で事業を始めることができます。
ただ、バイクの排気量により異なり、125cc未満の場合は届出も不要です。
(3)自社の荷物を運ぶ
自分の会社の荷物を運ぶ場合は、運送業の許可は不要です。
そもそもの法律の定義が他人から依頼を受けている場合ですから、自分の会社の商品や製品を運んでも運送業には該当しないことになります。
(4)運賃が発生しない
運賃をもらわない場合は、他人から荷物を運ぶ様に依頼されて、運搬したとしても、運送業には該当しないことになりますから、許可は不要です。
3.注意が必要なケース
運送業にあてはまってしまうケースが結構ありますので、間違いやすいケースを2つご紹介します。
ケース1 グループ会社内で、親会社が自社の製品の運搬を、子会社に委託するケースがよくあります。 この場合、グループであっても、別法人ですから、それが有償であれば、運送業に該当しますから、許可が必要です。
ケース2 建設業に多いケースなのですが、仕事を請け負って、預かった建築資材を現場まで運ぶ際、請求書に「配送料」とか書かれていなくても、配送料が実質的に含まれている場合は、運送行為を行っているとみなされる場合があります。 直接的に請求書に明記されていなくても、その実質をみて判断されるということですから、自社に所有権のないものを運ぶ業務が発生する場合は、運送業の許可を得る必要があります。 また、取引先から不要品を引き取る場合にも、そのものの所有権を意識しないと廃棄物処理法に違反する恐れもあります。 結構、いろんな法律が関わってきますから、物を運ぶというのは、しっかりと関係する法律を確認しておく必要があります。
まとめ
需要も高くなっていることから、運送業として独立・企業を考えている方は結構多いです。
お金をもらって他人の荷物を運ぶとなると許可か、届出が必要かもしれないということを知っておきましょう。
法律で規定されていることですから知らなかったは通用しません。
やりたい事業の内容と、許可、届出の方法と、その後発生する義務を確認し、どのような形で事業をするかしっかり計画してください。