国際ファクタリングの仕組みとは?
国際ファクタリングについて聞いたことはありませんか?
その名のとおり、海外の業者とのやりとりを行うものです。
ただ、なかなか海外とのやりとりなんて、関係ないと思われることでしょう。
中小企業や個人事業であっても海外事業をすることは珍しくありませんから、知っておいて損はありません。
1.国際ファクタリングとは
国際ファクタリングとは、いったいどういったことを意味するのでしょうか。
文字どおり海外の業者と行うファクタリングのことになります。
輸出代金の回収を確実に行うために利用される取引の形態です
輸出代金の回収は、銀行の取消不能信用状や保証状を手に入れて貿易保険を利用します。
これが通常の方法なのですが、これには追加で料金が発生します。
また、輸入国によって信用状が発行できない場合もあります。
手続きが複雑なだけでなく、このように問題もあります。
2.国際ファクタリングの特徴
国際ファクタリングは貿易保険に変わって利用できる方法ですが、その特徴にはどういったものがあるのか見てみましょう。
(1)買取ファクタリング
国際ファクタリングは、輸出債権を売買します。
そのため、買取ファクタリングの一つに分類されています。
(2)三者間取引
国際ファクタリングは、輸出者、ファクタリング会社、輸入者、この三者間で行われます。
一般的に三者間での取引ですが、ファクタリング会社が国内と海外とが加わり四者間で行われる場合もあります。
(3)係争事由等は担保されない
海外との取引となると、国内の場合とは状況が異なります。
相手の国の状態に影響されることがあります。
例えば、戦争や暴動等(非常危険)の場合や、マーケットクレーム等が起こると担保されません。
信用危険、つまり支払不能のリスクはカバーできるのですが、非常危険、つまりせんそうや内乱、輸出入の制限、カントリーリスクといったことはカバーできません。
マーケットクレームというのは、売買当事者の片方から申し立てる道徳あるいはビジネス倫理からは考えにくいクレームのことです。
正当なクレームでないクレームや、商取引と関係ないところの要因によるところはカバ=されません。
(4)手数料の負担
信用調査費や保証料、その他、かかる費用は輸出業者が負担することが普通です。
3.国際ファクタリングの仕組み
国際ファクタリングの流れを見ていきましょう。
国内と国外両方のファクタリング会社が入るケースの場合、どうなるのでしょうか。
①輸出者が国内のファクタリング会社に海外輸入者の信用調査を依頼します。
②国内のファクタリング会社が海外のファクタリング会社に信用調査を依頼し、海外輸入業者を調査します。
③海外のファクタリング会社は信用調査の結果を国内のファクタリング会社を通して輸出者に通知します。
④輸出者は輸入者にファクタリング利用を通知し、売買契約を締結します。
⑤輸出者は、輸出船積書類を輸入業者に送り、国内のファクタリング会社にその写しを送ります。
⑥輸入者は支払日に海外ファクタリング会社に代金を支払います。
⑦海外ファクタリング会社は代金を国内のファクタリング会社に支払い、その後、輸出者に代金が支払われます。
4.国際ファクタリングのメリット・デメリット
国際ファクタリングにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
(1)メリット
①海外債権を早期に現金化できる
通常の信用状を発行等の手続きに比べて入金されるまでの時間が短縮されます。
②取消不能信用状や保証状を使わない
国際ファクタリングを利用することで信用状等が必要ないので、その手間がかかりません。
③代金回収の手間がかからない
代金回収もファクタリング会社が代行してくれるため、この手間がかりません。
(2)デメリット
①輸入者の同意が必要
国際ファクタリングの場合は、二者間のファクタリングと異なり、三者もしくは四者間ファクタリンツですから、必ず輸入者の承諾が必要となります。
②費用の負担
信用調査や保証料、その他の費用を負担する必要があります。
③保証内容は信用事故のみ
非常危険(戦争、テロ等)が起こった場合は、保証されません。
5.他の保証方法は?
日本では、貿易一般保険や輸出手形保険という貿易保険制度があります。
その他、類似のリスクヘッジ手段として、フォーフェイティングという国際金融取引もあります。
フォーフェイティングは、政治リスクもカバーするもので、輸出債権を無遡及で買い取る取り引きです。
その他、決済期間の長い期間付手形といった方法もあります。
まとめ
ここでは、国際ファクタリングについて見てみました。
他の方法にないメリット・デメリットを補うために、いろいろな取引形態があります。
できるだけ、いろいろな方法を知っておくことで、自社のビジネスに最も良い方法を選択することができます。
いざというときに、慌てたのでは十分な情報収集もできませんから、ビジネスや経営に関することは幅広く知っておくようにしておく姿勢が、いざというときに役立ちます。