助成金対象の「セルフ・キャリアドック制度」とは?

厚生労働省が導入促進しているセルフ・キャリアドック制度をご存じでしょうか。
「人材開発支援助成金」の基本要件にもなっているので、聞いたことがあるかもしれません。


セルフ・キャリアドック制度を導入して適用するとそれだけでも従業員と企業の共にメリットがあるのですが、さらに助成金の受給をすることもできます。
ここでは、そんなセルフ・キャリアドック制度の概要について見ていきたいと思います。

1.セルフ・キャリアドック制度とは?

セルフ・キャリアドックとは、定期的なコンサルティングとキャリア研修などを組み合わせて行う、従業員のキャリア形成を促進・支援することを目的とした総合的な仕組みのことです。


従業員にとっては、自らのキャリアを考えることで仕事に対するモチベーションの向上につながります。
企業にとっては人材の定着や授業員の意識向上を通じた組織活性化が期待できます。
厚生労働省は2019年5月には全国に企業の「セルフ・キャリアドッグ」の導入を支援する拠点を、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の全国5箇所に設置しました。

2.キャリア形成支援助成金

セルフ・キャリアドックがどのように人材開発支援助成金の要件になっているのかを見ていきましょう。

(1)一般訓練コース
一般訓練コースにおいては、「セルフ・キャリアドック(定期的なキャリアコンサルティング)の対象時期を明記して規定すること(ジョブ・カードを活用することを推奨)」とあります。


一般訓練コースにおけるセルフ・キャリアドックの要件としては次のようなものが規定されています。


・労働契約、就業規則又は事業内職業能力開発計画のいずれかに、セルフ・キャリアドックの実施(定期的なキャリアコンサルティングの機会の確保)について対象時期を明記して定めていること。


・キャリアコンサルティングを実施する者は国家資格を有しているキャリアコンサルタントに限らない。


・キャリアコンサルティングについての経費は事業主が全額を負担する必要がある。

(2)特定訓練コース
特定訓練コースの場合は、セルフ・キャリアドック制度を導入していれば、助成率が引き上げられます。

ただ、この場合の要件は、次のようになっています。
・全ての労働者を対象とし、定期的に実施する制度であること
・国家資格を有するキャリアコンサルタントによる、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングであり、キャリアコンサルティングに基づき労働者がジョブ・カードを作成するものであること
・事業主が労働者に受けさせるものであって、キャリアコンサルティングの経費の全部を事業主が負担するものであること。
・キャリアコンサルタントが労働者と原則個別(一対一)に実施するものであること。

このように、セルフ・キャリアドック制度が人材開発支援助成金の要件となっています。
ただ、セルフ・キャリアドックの費用自体はこの助成金の対象とはなっていません。

3.セルフ・キャリアドックの導入・実施プロセス

それでは、どのようにこのセルフ・キャリアドックを導入していくのか、標準的なプロセスをご紹介します。

(1)経営者のコミットメント
最初に経営者が従業員に対するキャリアコンサルティングの機会の確保を、セルフ・キャリアドックの仕組みの具体化により明確化し、社内に対して明示・宣言(コミットメント)します。

(2)人材育成ビジョン・方針の策定
企業の経営理念を実現するために、従業員に期待する人材像とそのための人材育成方針を明らかにします。
業界・企業を取り巻く環境や、自社の人材が抱える実態を適切に把握し、その実態と企業の経営理念やあるべき人材像とのギャップから課題を明確にします。
そギャップを埋めたり、時代や組織の変化に対応するために、あるべき人材像を設定しなおして、人材育成方針を明確にしていきます。

(3)社内への周知
策定した人材育成ビジョン・方針は、適切な方法で全ての従業員に対して提示します。

(4)実施計画の策定
人材育成ビジョン・方針に基づいて、セルフ・キャリアドックをどのようにすすめていくのか、具体的な実施計画を策定します。
そこに盛り込む項目としては、キャリア研修、キャリアコンサルティング面談といったものとなります。

(5)必要なツールの整備
①面談シート
キャリアコンサルティング面談で使用する面談シートを準備します。
あらかじめ、面接対象者に記載してもらい、キャリアコンサルティング面談を実施します。
②全体報告書
キャリアコンサルティング面談の結果を、キャリアコンサルタントから人事部門に報告するための全体報告書を準備します。
様式を決めて具体化しておくことで、キャリアコンサルティング面談の結果を効率的に把握・整理することが可能となります。
③アンケート様式
キャリア研修やキャリアコンサルティング面談をより良いものにしていくために、対象従業員からのフィードバックをアンケート等で把握します。
チェック方式だけでなく、自由記述(感想や意見など)を含むものとすると、具体的な改善方策を検討するのに役立ちます。

(6)プロセスの整備
策定した実施計画の各プロセス(目標設定、実行、結果の把握、見直し)を実施し、その進捗が管理できるように進捗管理表を作成しておきます。

(7)企業内インフラの整備
まずは、セルフ・キャリアドックを推進していくために、社内における責任者を定めます。
そして、セルフ・キャリアドックの実施組織を決定します。
セルフ・キャリアドックを社内の制度として制定し、運用するために社内規定を整備し、具体的な活動内容等を明示します。
セルフ・キャリアドックの中核的な取り組みは、対象従業員に対するキャリア研修と個別のキャリアコンサルティング面談、それらの結果に対するフォローアップです。
そのため、これを担うキャリアコンサルタントの育成・確保が不可欠です。
社内で資格を保有する従業員か、社外のキャリアコンサルタントを確保します。

4.セルフ・キャリアドックの効果

こうしてセルフ・キャリアドックを導入することでどういった効果が期待できるでしょうか。
(1)若手
キャリアプラン作りの支援を通じて職場定着や仕事への意欲向上が期待できます。
また、目標に照らした今後の課題の抽出やその解決策の明確化、実行の動機付けができます。

(2)中堅
ライフキャリアの後半に向けたモチベーションの維持ができます。
中長期的なキャリアを見通して必要な能力開発に積極的に取り組む意欲を向上させます。
職場メンバーのキャリア開発に対する理解を深めることができます。

(3)シニア層
これまでのキャリアの棚卸と目標の再設定ができます。
職務や責任の変化や、新たな環境への適応などの課題抽出とその解決策の明確化、実行の動機付けができます。

(4)育児・介護休業者
育児・介護休業者の抱える不安を取り除き、仕事と家庭の両立に関わる課題の解決支援と、職場復帰のためのプランを作成し、職場復帰を円滑に行うことができます。

まとめ

セルフ・キャリアドック制度は、導入するだけでも大きなメリットが期待され、厚生労働省も積極的に導入を支援しています。
自社の発展、従業員のキャリアやモチベーション向上につながりますし、助成金の要件にもなっていますから、導入することをおすすめします。

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