安全余裕率と損益分岐点比率からCVP分析を理解しよう!
経営指標うち、費用(Cost)、営業量(Volume)、利益(Profit)の関係を利用した分析、いわゆるCVP分析で計算できる指標に安全余裕率と損益分岐点比率があります。
この二つは一緒に見ていく方が理解しやすいので、さっそく見ていきましょう。
目次
1.安全余裕率と損益分岐点比率の違いは?
この二つの指標は補数の関係にあります。
つまり、この二つの比率を足すと必ず100%となります。
この二つの指標は、いずれも損益分岐点までの距離を二つの目線から捉えた比率です。
①安全余裕率とは
安全余裕率とは、会社の売上高や販売量が、損益分岐点からどれぐらい離れているか、その差分を比率で表した指標のことです。
この安全余裕率を計算すると、実績が見込みどおりに出ないとしても、販売量が見込みより少なくなったとしても、損失が出ないぎりぎりの範囲を把握することができます。
売上高があと何円まで落ちてもぎりぎり利益が確保できるかというのを判断できます。
②損益分岐点比率とは
損益分岐点比率とは、会社の売上高に対する損益分岐点売上高を比率で表した指標のことです。
なお、売上高に変えて、販売量で見ても同じです。
損益分岐点比率は、会社がコストを回収するためにどれぐらいの売上が必要なのかを計算することができます。
損失を回避するために、最低限、これだけ売上量(売上高)があれば大丈夫ということが判断できます。
2.安全余裕率と損益分岐点比率の計算方法
この二つの指標はいずれも損益分岐点からの距離を見るものなのですが、売上高から見るのか、ゼロから見るのかという違いがあります。
経営状況の判断をする場合には、このどちらかで損益分岐点までの安全性を分析します。
①安全余裕率の計算式
売上高か販売量のいずれかを使い、次の二つの式のいずれかで計算します。
安全余裕率=(計画売上高-損益分岐点売上高)÷計画売上高×100
安全余裕率=(計画販売量-損益分岐点販売量)÷計画販売量×100
②損益分岐点比率の計算式
こちらも同じく、売上高か販売量のいずれかを使い、次の二つの式のいずれかで計算します。
損益分析点比率=損益分岐点売上高÷計画売上高×100
損益分岐点比率=損益分岐点販売量÷計画販売量×100
③計算結果の評価方法
損益分岐点は、利益も損失もない、コストを回収しきった点です。
そのため、会社の売上高が損益分岐点から離れていれば離れているほど、会社には多くの利益が残ります。
そのことから、安全余裕率は高いほど優良であると判断できます。
その逆に、損益分岐点比率は、会社の売上高が高くなるほど、値が小さくなりますから、損益分岐点比率が小さいほど会社には多くの利益が残ります。
損益分岐点比率は低いほど優良であると判断できます。
④計算例
実際に計算をしてみましょう。
売上高 15,000
変動費 9,000
固定費 5,000
営業利益 1,000
最初に、この場合の損益分岐点売上高を求めます。
変動費率=9,000÷15,000=0.6
損益分岐点売上高=5,000÷(1-0.6)=12,500
安全余裕率と損益分岐点比率を計算してみましょう。
安全余裕率=(15,000-12,500)÷15,000×100≒16.67%
損益分岐点比率=12,500÷15,000×100≒83.33%
安全余裕率が16.67%ということは、今の売上高が16.67%減っても損失にはならないで、利益に余裕があるということが判断できます。
また、このように計算してみると、冒頭で説明した安全余裕率と損益分岐点比率は補数の関係にあり、合計すると100%になることが、実際の数字を見るとお分かりいただけると思います。
まとめ
会社の経営状態を費用、営業量、利益の関係つまりCVP分析により計算できる指標には、安全余裕率と損益分岐点比率があります。
いずれも損益分岐点からの距離により判断します。
安全余裕率は損益分岐点から遠いほど、つまり比率が高いほど良く、逆に損益分岐点比率は会社の売上と損益分岐点の比率を見ますから、低いほど良いと判断されます。
このように、日々管理している数値を利用して、経営の安全度を指標で客観的に判断できます。
ご自身の携わっている事業で、計算してみられると利益が深まるので、試してみてください。
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